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開発の経緯

ゾーフィゴ®静注〔一般名:塩化ラジウム(223Ra)〕は、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療薬として開発された世界初のアルファ線放出放射性医薬品である。

 

ラジウムは、カルシウムと同族のアルカリ土類金属であることから、本剤は、体内において、カルシウムと同様に骨転移など骨代謝の亢進した部位に集積する特性を有する。

本剤は、高LET(線エネルギー付与)放射線であるアルファ線を放出し、隣接する細胞において高頻度にDNA二重鎖切断をもたらし、骨転移に対して強力な抗腫瘍効果を発揮する。一方、アルファ線の組織内飛程は100μm未満と短いため、骨髄などの正常組織への毒性は低いとされている。

 

本剤は、症候性骨転移を有するCRPC患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(ALSYMPCA試験)において、プラセボ投与群と比較し、生存期間の有意な延長を示した〔ハザード比:0.69,p=0.00005(層別log-rank検定)〕。

また、副次評価項目である症候性骨関連事象発現までの期間、ALP変化率及びALP上昇までの期間、PSA変化率及びPSA上昇までの期間についても有意に改善した。

本試験成績に基づき、各国で承認申請が行われ、米国では2013年5月に、欧州では2013年11月に承認を取得した。

 

本邦では、2012年より臨床開発が開始され、日本人の骨転移を有するCRPC患者を対象とした第I相臨床試験において、日本人と非日本人で薬物動態、忍容性に顕著な差がないことが確認された。更に、日本人の症候性骨転移を有するCRPC患者を対象とした第II相臨床試験が実施され、主要評価項目であるALP変化率において、国際共同第III相臨床試験の結果と一貫性が示され、日本人においてもその有効性が示唆された。

以上の国内外の臨床試験成績を評価資料として2015年4月に承認申請を行い、「骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌」を効能又は効果として2016年3月に承認を取得した。